内容説明
日本人奴隷は、ポルトガル商人によって東南アジア・インド・ヨーロッパへと売り飛ばされたが、悪いのは売ってくる日本人である!?日本人が日本人を襲い、日本人が中国人・朝鮮人を掠奪する。そんな暗黒の時代。
目次
第1章 奴隷・人身売買の黎明(奴隷という言葉;奴婢とは ほか)
第2章 室町・戦国時代の人身売買(室町時代の人身売買;倭寇の略奪行為 ほか)
第3章 世界を駆けめぐった日本人奴隷(豊臣秀吉の登場;九州での人身売買 ほか)
第4章 文禄・慶長の役と拉致(文禄・慶長の役の勃発;日本と朝鮮との行き違い ほか)
著者等紹介
渡邊大門[ワタナベダイモン]
1967年、神奈川県横浜市生まれ。1990年、関西学院大学文学部史学科日本史学専攻卒業。2008年、佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひこうき雲
76
奴隷は家畜同然と言われるがそれでは一体どんな生活を送っていたのか、ローマ帝国に関する資料は多く残されているようだか、日本史においては謎。それが詳しく分かる資料がないことが残念。2021/08/11
AICHAN
39
図書館本。魏志倭人伝などの古代中国の文献によると倭国は貢物として生口(奴隷)を中国に連れていっている。森鴎外の『山椒大夫』では人身売買がされていた昔のことが描かれる。秀吉の朝鮮の役で島津家は3万7千人もの朝鮮人を拉致したという。意外だったのは古代から鎌倉期にかけての政権が良民の人身売買を禁じていたことだ。しかし戦国期に入ると戦争のどさくさに紛れて略奪をする者が増え、人身売買が公然のものになった。それを禁止したのが秀吉である。特に、売買された日本人をポルトガル人が買い他国へ売るのを厳しく禁じた。2019/02/08
ようはん
19
奴隷や人身売買は日本においては既に古代からあり、その時の政権によって法規制も行われていた。人身売買を招くのは飢饉や貧困による身売り、戦乱による乱取りではあるが戦国時代になるとそれらの条件が揃って各大名による乱取りの無法状態となる。その中にはポルトガル商人に売られて海外に送られる事もあり悲惨極まりない2025/01/23
4fdo4
17
戦国時代の勝利者による略取(乱取り)や大飢饉の人身売買、そして古来からの私奴婢制度という少し歴史を紐解けば多くの奴隷が日本にも居た。 帯にもあるが、ポルトガル商人の日本人奴隷売買はかなりのページを割いている。日本人がポルトガル商人によって【輸出】され、東南アジアにおけるヨーロッパ列強の戦争に投入された。 そして日本奴隷は戦闘能力が高く、本国より兵隊を連れてくるよりも安く済むため、重宝されていたというのだ。 2018/09/15
B-Beat
16
教科書で知り、小説や映画・テレビドラマで興味が深まって追っかけた武将や合戦がテーマの「歴史」。それが表の歴史ならこれは裏の歴史か。語られる歴史とは現代人にとって都合のいいもの?そうでないものは封印?これまでうかがい知ることもなかった新たな歴史の一断面。なんだか久し振りのワクワク感。2022/01/26